カラオケの最中はそれほどピンチは訪れなかったさ。
でも、終わりにこそピンチは現れる物なのだ。
悪夢はスタートライン9
救世主(複数)が現れた後、波乱万丈かと思われていたカラオケはあっけなく終了時間が来てしまった。
安城君の歌声も初めて聞いたし、リーゼル青年は相変わらずの愛想を使って
うまく自分の番をはぐらかしてばかりいたし(どうやら一曲丸ごと聴けたのは私だけみたいだ)
「ではっ、解散しマース!」
「はいはい、分かってるから渚よ。カウンターの前で叫ばないでくれ」
カラオケ終了時に、渚は今まで以上にハイテンションになり"白い目"と言われる言葉を忘れて叫んだ。
そんな渚に私はおろおろし、安城君は冷や汗をかき……青年は微笑んでいた。
「じゃあ、圭吾君とアタシは行き同様に車で帰るから〜」
「んじゃあなー、今日は楽しかったぜ!」
そんな感想を漏らしながら、彼らはあらかじめメールで手配していたハイヤー(乗用車)に乗り、
雨が上がった道路の水溜りでバシャバシャ音を立てながら去っていった。
・・・・・・
あぁ。ごめん私すっっっごく沈黙苦手。
出来ればこの雨上がりの濁った空の下を全速力で走って帰りたいんですが。
…無理かな?隣の青年の笑顔を見てしまってはそれは絶対出来ないのだろうと確信する。
「ミナミさん。ミナミさんはこの辺りに住んでるの?
だって電車もバスも大幅に遅れてるみたいなのに、自転車もなくて此処に来れるのかなと…」
確信に行きやがった。これが怖いから私はツーショットになりたくなかったんだよ!!
私にどうしろって言うんだ!すんなり「ええ、そうよ♪」と答えろと!?
それは惨いよ!だ、誰か助けてぇー……。
「…ミナミさん?」
「え、あ、ごっごめんなさい!……そうです。ちょっと遠いですが徒歩で来れる場所に住んでます」
「そうなんだ。実は僕もなんだ…どう?一緒に帰らない?」
やっぱり来たよ。オィ。
そんな誘いかたしたら「いいですよ☆」みたいに前の私なら答えたでしょうよ。
でもな――…君にあった所為で私のその思考は変わったんだよ!!
そんな危険な橋わたれるかっての!
「いえ、方向が違うと思いますし…」
「じゃあ、どっちの道で帰るの?」
「え、あっちの道から――…!」
言った後、私は素晴らしく後悔した。
自ら道を指し示すなど「後からついて来てね」とでも言ってるような物だ。
なんて阿呆なんじゃワイは……っ!
「奇遇だね。僕も同じ方だ…じゃあ行こうか」
傘を持って先に歩みだす青年……どうやらもう彼は乗り気の様で止める事は出来なさそうだ…。
あぁ、不覚だ…。
「……はーい」
顔には冷や汗を、心には大粒の涙を浮かべながら私は水溜りに気をつけながら
ピョンピョンと彼に歩み、隣に並びました。
……ごめん、凄く目立つ。
雨が上がって暫く経つ所為か、人通りがかなり多くなった道を歩けば…。
普通に目立つだろ!いや、私何か目立ってないよ。隣のリーゼル青年が目立ってるんだぜ。
痛いなぁ…私そこまで視線受けるの慣れてないのよーヘルプ!
「…ミナミさん?こっちから通ろうか?」
と言ってリーゼル青年はふいに大通りから逸れる散策道を指差した。
人目がないのでそれはそれとしていいんだけどなー。
「いいですよ」
にっこり(嘘笑い)を浮かべて私はリーゼル青年にひょっこりついていく。
…何か変な予感もするけど、その感情はとりあえず削除しておこう、うん。
散策道の花壇には今の季節に咲く花で一杯だった。
特に多いのが紫陽花。セイヨウ紫陽花や、赤紫や青紫の花で綺麗。
ふっ…と、彼が急に歩みを止めて私の後ろに立つ形になった。
いきなり何なのだろうと思い、振り返れば彼は冷たい顔を浮かべながら後ろに立っている。
「…余裕みたいだね。世界を変化させた相手が目の前にいるのに」
そう、物事は突然新展開を始めるのだ。
主人公である私を完璧に無視して。
…最後の一言は言い訳かも。
そしてこの連載始めての名前変更なしですw
(焦ってましたから、だって明日から遠出するのでかけませんからw)
新展開を書きたいのに、多分来週までおあずけでしょうw
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