確かに、そんなすごい事が、私にだけ効いてないのは変だけどさ。
ほら、ミスなんだよ。神様の…多分。
悪夢はスタートライン21
「何で私がそんな大事に巻き込まれてるんですか!?」
「どちらかといえば、さんが巻き込まれた訳じゃないんだ。
さんの関係者の所為で、こんな事になったのさ」
淡々と、真相が見えない話をするリドル…。
うーん…頭がこんからがってきた…。
私の知り合い…家族に先生に友達でしょ……誰書いた?そんな大事に巻き込まれそうな…。
「単刀直入に言うなら」
一息の間をあけて、彼は言った。
「さんの行方不明の友達が、全ての元凶さ」
頭を硬いもので思いっきり殴られた気がした。
「…三波…もう少し落ちついたら?」
私を苗字で呼ぶのは、友達で一人しかいなかった。
ずーっと、一人だけ。
「バイト始めたけどさ、全然お客来ないんだよね…古本屋だからかもしれないんだけど」
何気ない会話を、容易に思い出せる私がいる。
…それが、苦しい。
「…?」
「そう、彼女の所為さ」
「でも、だって…はっ!」
私はすごく困惑して、言葉がつながってない。
は…去年の冬に、突然いなくなった。
私と別れた数分後に、バイト先で目撃されたのが最後。
手がかりが何一つ無かった。どうしようもなかった。
…人と別れる事に慣れていなかった私は、の存在をゆっくり消した。
「死んだ。って?…死体も見つかってないのに、それが断定できるのかい?」
「じゃあ、はどこに行ったっていうの!?」
大声で、椅子から勢いよく立ち上がり、私は怒鳴った。
彼に叫んだところで、何の意味も無いのは分かってる。
その時自分に嘘をついたツケを、ただリドルに向かって当たってるだけ。
でも、リドルの表情からは明らかな感情が読み取れない…ただ静かに、答える。
「喚ばれたんだよ、間違ってね」
「よ、よばれ…え、どう言う事?誰に…」
予想もしなかった答えに、混乱して思わずどもる私。
…"よぶ"って言う事は…召喚?
「…闇の帝王の復活を望んだ死喰い人どもに、全く無関係なは喚ばれたのさ」
・・・・・・
――…はぃ?
聞き間違えかな?なんかすっごく聞き慣れたキーワードが彼の口から出てきた気がするよ。
私の頭の中から、シリアスな雰囲気は粉砕して消え去ってしまって。
現れたのは、素晴らしい数のツッコミの数々。
何でよっ!?私の知る内のは、特殊能力とかそう言うの一切ない女子高生だったんだけど!?
…私には黙ってたけど、実は魔法使いでした?未知なるものを操る一族の末裔でした?
そんな理由、例え本人自身から言われても私は納得しないぞ。
まるでドリーム小説のような話になってきたぞ……。
と、とりあえず落ち着こう。
そうそう、深呼吸と同時に自分が知ってるドリーム小説のパターンを振り返ってみればいい…。
「あー、えー…ってもしかして元からそっちの人だったとか?」
手っ取り早い理由を、とりあえず探して聞いてみる。
…が死んでしまったと言う仮説が、否定されたことだけでも、私は嬉しかった。
それが真実か否かは、目の前のリドルしか知らない。だから、聞きまくる。
「まさか。彼女は純粋なマグルだよ――…まぁ、それが要因にもなったんだけどね」
「え?…あの、リドルさん。全く事実が見えないんですけど」
さっきから何度も言葉のキャッチボールをしてるはずなのに。
私の投球はことごとく回避されて、彼のはデットボールとしてぶつかって来る。
…少し落ち着けたから慣れたけれど。
「彼女は、その時持っていた"とある物"の所為で、
死喰い人達が行った召喚術の対象になってしまったのさ。
その"とある物"が、彼女を宿り主とし、そして僕をこっちの世界へ送り込んだ張本人さ」
状況説明とともに、リドルはハァ…と深いため息をついた。
つまり…その"もの"はキーパーソン且つ凄い力の持ち主で、を巻き込んだ…と言う事かな。
「とある物…クラウンって言うんだけどね。
…クラウンは、その宿り主の"死"を何よりも恐れているんだよ」
「宿り主の、死…つまり――」
「の死を恐れるクラウンは、次なる宿り主の事を考えて、僕を送り込んだ」
否定された友達の死、でもそう言われると心臓がドキリと音を立てて震えた。
死んでない。は生きている…そう言う暗示を捨てて生きてきた私には、その言葉が生々しい。
…って、あれ?次なる宿り主の話?
リドルがこっちに来た理由がそれなら…その人はどうなるんだろう。
みたいに、巻き込まれるのかな。
「――…それは、君のことだよ。・ミナミ」
「・・・・・・・・・はァ!?」
…まさか、自分の名前が出てくるとは思ってもいなかった私に、幸あれ。
かなーり、急展開です。すみませんっ!!
長かったので二つに分けます。
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