闇に輝く原色達は、
美しくて、儚いと思う。
悪夢はスタートライン15
地平線に飲み込まれる太陽を見ながら、私は考えていた。
別に『人生って儚い』とか『この夕日と比べると私はなんて小さいんだ』じゃない。
……隣(渚)の隣の彼についてなんだけど。
「…綺麗な夕日だね」
「そうなの〜、夕日が綺麗だと今年の花火も綺麗ってことなのよー?」
そう言う会話をしているお二人ですが……私には渚なんて眼中にない。
何故かって?それは・・・
リドルの服装がスペシャルで浴衣着てるんだよ!!
え、感想?感想なんていう単位じゃないの!!
とにかくレアなんです!わかる?こんな体験めったにないよ??
まぁ。何故こんな事になったか簡潔に話すと。
私のあのノリノリな父の所為だ。
「…しかし似合うなぁ、トミーは!」
「……ケイゴも似合ってるよ?」
「えー、私は褒めてくれないの〜」
父の趣味は何故か我が友人(リドルが友人の中に居ないのは突っ込んではいけない)まで伸びた。
…勿論、浴衣シリーズは私にも被害が及び…今は紺色の浴衣を着ています。
「うーん…お腹すいた……」
夕方で、此処に来るまで何も食べてこなかった私のお腹が小さな悲鳴を上げていた。
……遠くから出店の商品の何とも言えない香りが私を襲う。
「――じゃあ、行こうか?」
「…え、えぇぇぇ!?」
「「はーい、いってらっしゃーい」」
私の嘆きが何故か彼に聞こえてしまったらしく、何とも強引に私を引っ張って立ち上がらせて、
屋台のほうへ強制連行させられることに(渚、安城君!お願いだから付いてきてよ!!)
「…あの、リーゼルさん?」
「ん?だから、別に無理してそれで呼ばなくていいって」
馴染みがなさそうな(と私が思っているだけかもしれない)祭り名物の屋台の前で商品を悩むリドル。
いや、私がリドルと言うのは心の中で十分です。
「いや…あのー……出店だと何が好き?」
イギリス人にストレートに浴びせる質問じゃないけど、聞いてみる。
んー…とお店のメニューを少し見詰めた後――行った。
「僕はアレが好きだな。"カキ氷"の紫色の奴」
・・・
・・・・・・
お兄さんそれって"ムーンライト"ですか?
結構なマイナー物引っ張ってきましたね。だって、小さいところだと置いてないよ?ムーンライト
ハッ…!
もしや、リドルの下が紫色になるのを拝められるのか!?
それもそれで悪くないような…いや、変な意味で寧ろワクワクするような……。
「…で、さんは何が好きなんだい?」
「えっ、私はね……たこ焼きがすきかな」
うん、今純粋に食べたい物を言ってみる私。
すると…何故かリドルは微笑んで(それなのに一瞬寒気を感じた)出店の方に進んでいく。
「え、あ、ちょっと?!」
何か行動が早いって言うか…ぶっちゃけその素早さは何処から来るんだっていうか……。
そして、帰ってきたリドルの手には…先程話題に上がった食品が二つ。
「はい、どうぞ?」
「あ、ありがとうございます…お、お金っ!」
買ってもらっただけじゃ駄目だと。急いで巾着から財布を取り出そうとする私にリドルは言った。
「いいよ……そのかわりに、二人の時はリドルって呼んでくれないかな?」
・・・なにその代償。
例え「嫌です」と言っても明らかに私の腕を掴む彼の手はその行動を許そうとしないし。
――…これは素直に従うしかないのか?
「んー…じゃあ、あだ名じゃ駄目ですか?リドルとは何か…言えないので……」
「例えば?」
秒殺キラリンコ(久々)で私からその候補を聞き出そうとするリドルさん。
……前々からすこーし考えてたんだけど、言うしかないか。
「"とよトミー"とか…は?」
「…誰の名前だい?」
「いや、有名な戦国時代の武将さんのお名前です」
「――…じゃあいいや。普通で」
かなり彼は私のセンスに落ち込んだらしく、はぁ、とため息をついて私の腕を掴んでそのまま歩き出す。
…うーん。ちょっと可哀相(と書くと脳内では可愛そうと変換される)だったきもする。
「えーっと…リドルさん……?」
とりあえず、さん付けでもいいから声をかけると……前を歩く彼が歩みを止めて、振り返り、言った。
「なにかな。?」
・・・もうリドルって言うのやめよう。
親交の証で何故か私を呼び捨てにした彼に連れられ、私は友人二人の元へと来た道を戻る。
空は、今夜の花火が美しく映えそうな、漆黒の色に変わっていた。
終わったっ・・・!!
いや、まだ花火のお話は少し続くよ?
そしてさり気なくリドルが攻めっぽかったね?(いいのか)
みなさんは知ってる?カキ氷のムーンライト味。
気に入りましたら、ワンクリック!→コチラ!
前、行く? TOP 進んじまう?
|