あぁ、誰か。

……って他人に救いを求めて本当に助けてもらってるのか?私。











悪夢はスタートライン11















冷やアセ、脂アセ、足カセ(最後違うぞ)…

私は今そんな気分で専攻学科の授業の真っ最中、パソコンを見詰めております。


いや、別に今やってるHTML系の課題が難しいからじゃないよ?

…まぁ、理由は数秒後に分かるよ。奥さん。





「さん。ちょっと分からない所があるから教えて欲しいんだけど…」





ほら、来た。


笑顔大魔神(赤目)が、わざとらしぃーく私に助けを求めてきた。

いや、貴様。さっき教えてから五分も経ってないぞ。


…分かってるぞ、君。わざとだろ?

私が終わって暇になってるだろうと踏んでの(迷惑な)親切心でか!?





「え、でも私の教え方より他の人に教えてもらうのもいいよ?」

「…でも、終わってるのさんしかいないみたいだからさ…お願いするよ」





必殺技のキラリンコスマイルを繰り出して来た赤目青年。

ふっ、俺には効かない!……と強気だが、かなりふらりと来てしまう。





「……分かりましたー。今行きますよ」





なんで私が教えなきゃいけないんだと、心中では愚痴を零しながらも

椅子から立ち上がって、彼のパソコンの近くの空いている席に着いて画面を見る。






「あのー、トミー君やぃ――終わってるんですけど?」





そこには、私と同じように課題を完成させている画面がバンと表示されていた。

…もしや。





「…なら、私は無用ですねw帰ります」

「――逃がさないよ」





立ち上がろうとした私の肩を瞬時に掴んでグィっと椅子に押し付ける青年。

しっかり小声で私を脅しながらだしさ……なんだこの強引さ。





「…あらー、リーゼルさんはこんな女に何の御用かしら?」

「暇なんだ。相手を気にせず話せる相手が君しかいないからね」





そんな理由で私を此処まで(嘘で)呼び寄せて、逃亡も阻止するなんて…マニアですな。

ハァーと盛大にため息をつきながら彼の課題が本当に完璧かHTMLのソースを見始める。

――…いや、目をあわせたくないのもあるんですけどね。





「んで、なんの御用です?」

「……まず一つ。僕を避けてるよね?」





ストレート剛速球を私にいきなり投げないでください。

痛いよ。顔面食らって思わず操作してるマウスで変な所クリックしかけちゃったよ。


……そうさ!私は彼を避けてるのさ!(相変らずリドルとか、トムとか呼べてないし)

これから(非現実なら)ドリームワールドまっしぐらな展開だろ!?

私はそんな展開から心と体共々逃げたかったのです。





「…さぁ?気のせいなんじゃないでしょうか」

「――…僕がそんな言葉を信じると思うのかい?」

「いえ、あの…はい、そうです」





押しが強いよ、隣の青年の言葉がさ。

じーっと彼のレポートを見ていますが、本当に完璧なのでそろそろする事がなくなってきました。

…なにこの攻防戦(言葉オンリー)





「ところで、さんは夏休み何か予定でもあるのかな?」

「…遠出します。行き先を言うつもりも聞かれるつもりもありませんけど」





そう、私は夏休み始まった当日に遠くの県に住まう祖母宅に旅立つのだ。

もう夏休みもまじかに迫っているのもあって、私としては彼から離れるいい口実になりそうだが…


行き先は決して口にしないぞ。したらヤツならあっちで何時出没するか分からない。





「そういえば」





私が思っている疑問を一つ彼にぶつけてみる事にした。

詳しい事まで聞くには此処は危険すぎるし、それ以上ややこしい話にもつれ込むのも避けたい。





「……貴方の資金源は一体何処から?」





普通に気になりませんか、奥様!!


異世界→現実世界に移動してきたのなら、普通日本円は所持してないはず!

ましてや異世界(ハリポタ)の魔法会から来たのなら、尚更外国通貨など決して手に入れてない筈。

…ならば、彼の学費、生活費、その他の金は何処から来るのかと疑問に思わずにはいられないのです。





「あぁ…それね」





と言うと、彼は急に私が操作していたマウスを素早く奪ってインターネットの検索サイトを表示させる。

そして『朝方銀行 強盗 5億』とキーワードを入力すると、エンターを押してから言った。





「君は知ってるかい?…少し前に有名な銀行に強盗が入ったって言う話」

「え、知ってるけど……!」





嫌な予感が私の背後からひっそり現れ、背に冷や汗が流れた。


朝方銀行の強盗事件はかなり有名だった。

確か…リドルが入力したとおり盗まれた金額は五億円で

でもその犯人が今でも見つかってないとか…





「…も、もしや?」





恐る恐る隣の彼にの顔を見れば――明らかに鉄仮面の如く完璧な爽やか笑顔が。




「――君が予想している通りだよ」





やっぱりかぁぁぁぁぁ!!!!



目に前にいる彼を私は舐めていたのかもしれない!

よく考えてみれば…


リ ド ル な ら ど ん な 事 も や り か ね な い !


叫びたい衝動を必死に抑えて、私は口に手を当てながら軽く深呼吸をする。

リアルに目の前に犯罪者がいるよ。お母さん。





「でも、あのお金は裏金だったからね……なくなってちょうどよかったんじゃないかな?」





Q.何処の裏金だろうとお金を盗む事は悪い事だと思うんですが?

A.でも結局それを目の前にいる彼にいえない私が居ます。



そんな彼に盛大なため息をつきながら

私はズーンと重たい空気を纏って俯き続けていた。


……俺、今彼の顔すら見たくねぇんだ。















バラしたのに、なんだよこの番外へんっぷり。 ちっとも進展して無いじゃんか。 …ごめん。読者様。次は何とかする。 気に入りましたら、ワンクリック!→コチラ!

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