「マハリィ〜フ、マハァ〜リタ、ヤンバラヤンバンヤン〜♪

 サリィ〜♪サリィ〜♪
 
 まほぉ〜使い、サリィ〜♪」 




リズムに乗って、実年齢と性別に似合わない歌を熱唱するは、

今は特に機嫌がいいらしく、軽くスキップステップを踏んでいた。


そんなの行動に多くの生徒が一歩引き気味なオーラを出している中、

やはり長い付き合いのは穏やかな口調で質問した。



「サック〜?今日のチョイスはどんなテーマの元で?」

「おぉ、クリちゃん!よくぞ聞いてくれましたっ!」



歌の最中に質問されたにも関わらず、は歌っている時以上に生き生きとした表情でに振り返る。



「今日は“空飛ぶ魔女”っつーテーマでだなぁ!……ちなみに、クリちゃんは誰思い出す?」

「んー?俺かぁ…」



いかにも、煎茶を啜ってまったりしていそうな表情を浮かべながら頭を右に傾げる。


そして、しばしの後「あぁ」と小さな声を上げて、手を一度叩いてから、に答えを出した。




「こーゆー場合は、やっぱり魔女宅のキキちゃんじゃないかな?」

「えぇ〜!でも魔女っ子メグも捨てられないなぁ……」

「…魔女っ子メグって……かなりマイナーじゃない?」

「マイナーなのは、コメットさんが一番さっ!」



本当に、どうでもいい事でどうでもいい討論をし続ける。


いや、これは本当に彼らのコミュニケーションの一つであって、お互いを知るのにはピッタリなのだ。

しかし、実際の魔法使い達が溢れるこの場所でその会話を平気でしている二人もどうかと思うが…。




「…俺はキキちゃんから譲れないなぁ……」

「ちょっと、!フーチ先生がいらっしゃったわよ!

 ……それより、さっきの"サニー"とか"キピ"って何?」



心配になったのか、隣りに並んでいた親切なハーマイオニーが注意してくれた。

そしてさり気無く、日本語の発音で聞きづらかったらしく、キャラの名前を若干間違えて訊いて来た。




「あぁ、あれはなぁ「ハィ、みなさん!箒の傍に!」



が親切に説明しようとした所、今から始まる飛行訓練のマダム・フーチの声に遮られてしまった。


や、親しい者以外に話を遮られると異様に機嫌が悪くなるだが、仕方なく箒の隣に立つ。


……緑と赤の生徒が二列に綺麗に分かれている――筈なのだが、ハリーがある事に気づいて訊く。




「…あの、。なんでこっちの列にいるの?」


「え、居ちゃいけないんだっけ?」


「いや、そう言うルールは無いんだけど…」



確かに、さり気無く赤の群れに緑が混じっていてクリスマスカラーが完成しているが、

当の本人達(引き込んだも含めて)は全然寮の対立については考えてないようだ。



「では、箒に手をかざし『あがれ』と言いましょう…では、はじめ!」



あちらこちらから、生徒達の『あがれ』と言う声が連発されている。


も、箒に手をかざして同時に言った。





「「あがれっ!!」」




シュッ



「…なんでクリちゃんだけ手に収まる?」


「う〜ん、コツは"腹黒さ"かな?」




二人同時に叫び、何故か理由分からずの手の内には箒が収まり、の箒は微妙に浮いて落ちた。


負けず嫌いのに、成功者のはよく分からないアドバイスを贈り、箒の握り方を考え始めた。


う〜んと、少し間を置いてからは何故か喉を摩った。


そして、首を傾げながら半信半疑で再び箒に手をかざして、落ち着き払った声で言った。





「えっと……あがれよ?シュタッ!!…――ゴウンッ


「ぐはっ!」



の言うとおり、精一杯の腹黒さを込めた言葉で箒に命令した所。


……逆に箒が緊張したらしく、手には収まらず顔面ヒットを喰らった。



――…まさに、顔面ストレート。っ!?…大丈夫かい?」


「オォッケェ〜……ノォープログレェムぅ…」



隣りでの出来事に驚いたロンが、自分の箒のこと等忘れてに声を掛けた。


小さな声で、顔を右腕で隠し、左手の親指を立ててOKサインを出すが――はっきり言って信用できない。


そんなに気づかなかったのか、マダム・フーチは次段階へと進める。




「…では皆さん、箒にまたがって……1、2の――」



しかし、最後の数字の前にネビルが先陣を切って空に舞い上がった。


ネビルがそんな事を進んでする筈が無い――顔色が蒼白なのが、はっきりとには見えた。




「戻ってきなさいっ、ミスター!」


「先生っ、そんな事を言っちゃ……クリちゃんっ!?」



焦るマダムに対し、発言を止める様に言おうとしたは、が自分の箒で空に飛び上がったのに驚いた。


ネビルの昇る速さが打ち上げ花火なら、は音速域の速さで追いかけた。


そして、隣同士に並ぶとは大声で言った。




「ネビル!落ち着いて、君が落ち着けば箒は止まる!箒は下がるから!」



だが、の声届かずして、ネビルの乗った箒は流れ星の如く地面へと急降下を始める。


地面から聞こえる女子の悲鳴――落ち始めるネビルの箒を、はとっさに身を乗り出して掴んだ。



――しかし、掴んだのは間違いだった。



落下速度が出ているネビルの箒の力の方が、自分の箒を掴むの左手の握力に勝り――…自らの箒から手が離れた。





落ちる――落ちる――一人分の重力が加わり、落下速度が加速する。


地上に居たは、とっさにポケットから杖を取り出し、大声で叫んだ。





「ウィンガーディアム・レヴィオーサー!」




その大声が、青空にこだました…。


と試してみた習っていない呪文――効くかどうかは、神次第だ。


呪文の閃光が、地面激突の瞬間に二人に当たり――大きく速度が落ちた。




ドンッ!




地面に激突する鈍い音がし、マダムと生徒達がとネビルの所に走った。




「ミスター・ロングボトム、フジヤ!大丈夫ですかっ!?」


「クリちゃんっ!」



ネビルは意識があり、鈍いながら体を動かして辺りを見たが――は身動き一つしなかった。


の体に手をかけ、ゆっくり仰向けにすると、意識が無いだけで命に別状は無いみたいだ。




「みなさん、私はミスター・ロングボトムとミスター・フジヤを保健室に連れて行きます!」


「フーチ先生、オレも行かせてください!」



マダム・フーチの発言に、すぐさまは必死そうに付いて行くを申し出た。


すぐさま却下しようとしたが……の表情が余りにも真剣だったので、戸惑った。




「…分かりました。他の生徒は、大人しく待っていなさい!」



自分の杖を取り出し、を宙に浮かせると、マダムはネビルを支えながらゆっくりと校内へ向かい始めた。


も、近くに居たディーンに自分の箒を渡し、急ぎ足でに寄り添って後に付いていった。










え、終わり?……ごめん、終わり。 いや、冒頭が書きたかっただけなのかもしれない。 久々に、多くのキャラが登場。 ……ちなみに、私が好きなのはキキちゃんです。 15000hit、ありがとうございます。

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