――…それは、新入生歓迎会直後の事だった。 生徒達は自らの寮へ行こうと席を離れ始める中、一人身動き一つせず机に突っ伏している者が居た。 口から、完全に全身のエネルギーを出し切ったである。 そんな屍同然のの所へ、エネルギーの元が現れた――離れ離れになったである。 「…どうしたのサック……そんな明らかに"死にてぇ…"見たいな顔して」 「うぇっ、ぐッ……クリちゃあぁぁぁぁぁあん!!!」 涙で前が見えない……そうである筈の量の涙を流しながら、はしっかりとの居場所を感知して飛んできた。 それを(珍しく)許したは、完全にべそかきの子供をあやす様な雰囲気を出す。 「…そんなに嫌だったの?俺と別の寮が」 「だってぇ……だってぇ…あんなに帽子脅したのにさぁっ!!!」 「でも、いいんじゃないかな。俺、サックの麻薬的存在じゃないし」 そう言って、優しかったオーラは一遍……抱きつくをひらりと交わし、空いている椅子に座る。 ……その瞬間、は"ハリー達が言ってたスリザリン生の特徴がクリの中にある"と感じ取った。 ピキーン、と氷結果汁になったを、見ては溜息をついた。 なんと言うか、昔から付き合ってない分、今(幼姿)のが異様に見える……の率直な感想だ。 「…ねぇ、サック――俺達キャラ変わってるよね…」 「……ごめん。一番はしゃいでるけど、オレもそう思う」 はぁーっ、と盛大に二人の溜息が重なり、より一層諦めモードが上昇する。 そんな二人に、突如……声が掛かる。 「ミスター・アンジョウ。ミスター・フジヤ」 ツンッと来る様な冷たい言い方で名前を呼ばれ、俯いていた二人は同時に顔を上げた。 そこには、長身の、漆黒のローブがとてもお似合いなスリザリン寮監。 ……セブルス・スネイプ教授がいらっしゃいました。 「何でしょうか、スネイプ教授」 にこやかな、何時ものふにっとした笑顔で、はスネイプ教授に言う。 しかしそれに比べ、やはり食事中に余計な知識まで詰め込まれたは、やはり教授を訝しげな目で見ていた。 「……そろそろ就寝時間であろう。他の寮生はもう此処には居ないのだが?」 「あっ…」 確かに、何時の間にかこの三人以外大広間には誰も居なかった。 ……寮の場所を教えてもらっていない二人にとっては、大ピンチだ。 「…入学初日から減点されるのを望むのなら「す、すみませんっ!……クリちゃん、行こう!」 「う、うん」 完全に、スネイプ教授に対し恐れを抱いてしまったは別寮生であるを連れて大広間を去ろうとする。 しかし、の頭の中には 《…別に減点されても、教授が痛いだけだし……》 と言う考え方が芽生えていた。 の得意技『暴走ハリケーン』を始めようとする。しかし…… 「…待ちたまえ」 「……はぃ?何でございましょーかぁ?」 何度も自分を脅したのに、まだ脅したりないのかと腹が立ったは、敬語を使うのを忘れた。 ……しかし、その態度にも顔色一つ変えずに、教授はに二通の手紙を渡した。 「…これは?」 「――…校長からの手紙だ。早めに読むように」 何とも無感情な声で説明すると、スネイプ教授は踵を返して教員テーブル側の小さなドアに姿を消した。 取り残された二人は、渡された手紙を開き、読もうとするが……正直戸惑った。 「うわっ、何だこの字……英語?」 「…その上、筆記体だしね。本当に達筆……んっ?」 盛大に手紙を見てため息を付くが、急に黙って文字だとも判別し難い文章を見つめる。 ……ゆっくりだが、文章の上に日本語が浮き出て来ている様に見える。 …ネットの読み仮名付き文字の様な感じだ。 「なんか、小さく日本語見えない?サック」 「……うん。確かに…え〜っと何々?」 『まずは、入学おめでとう。充実した生活を送って欲しい。 君らの今後についてじゃが、君らは勉強するには準備も何もしておらんので、 今週末に、ダイアゴン横丁と言う場所へ行って学用品などを買いにいく必要があるじゃろう。 そして、生活して行くに必要な知識も身に付けておらんようなので、 毎週火・木曜日の放課後に、特別講習を受けてもらうじゃろう。 ……講習の先生については、又後程じゃ。 君らには突然の事が多くて、混乱しておるじゃろうが 助けが必要な時は、直ぐにワシや他の先生に言うのじゃぞ。 ……そして、君らの素性については、暫く他生徒には言わんで欲しい。 では、良い日々を アルバス・ダンブルドア』 達筆な手紙に振られたルビ文字を、試行錯誤しながら読み終えた二人は、顔を見合わせる。 …何と言うか、成り行きで魔法学校に入ってしまった事について、今更ながら混乱しているのだ。 「……なぁ、クリちゃん。今、思ったんだけどさ」 「…多分、俺と思った事同じだろうけど…言ってくれる?」 現実逃避モードに、ゆっくりなりながらも、はそう呟いて、の発言を許可した。 マンガの様な縦線が、顔に入り始めるだが、その言葉だけはしっかりとしていた。 「…オレ等――魔法使えないのに、大丈夫なのか…?」 ――…大切な事は、後になって思い出す物らしい。
あ〜ぁ、寮別々になっちゃったw(楽しそう) 『魔法使えるか』と言う問題は、もー少し後か、出しません(ぇ) …一言言うと、 のキャラ違げーっ!! がくろーい!! ……大丈夫かしら…?