"Principle of cheat picture..." ……誰か、私に先程の出来事を理解する頭を貸してください。 コテッと言う効果音がピッタリな私のこけっぷりに、私自身が馬鹿らしさを感じた。 しかし、さすがに痛い。インドア派の私は、あまり怪我とは縁がなかったから……よぇーなぁー、私。 前かがみで倒れこんだ私は、膝を着いて、体勢を安定させて、立ち上がる為の順序を踏んで行く。 しかし、その間に珍しく本が私に話掛けてきた。 ――…大変だ。 「何よ?さっきの声と風って、そんなに凄かったん?」 両手に付いた小石を叩き落としながら、私は立ち上がり、大通りを見つめる。 ――先程と何も変わらない。人混みが絶える事は無いし、私自身への偏見の視線は来ない。 私にも、世界にも変化はない様に見える。 「…何にも変化は無いみたいだけどなぁ。私の体にも異常は無いし」 上着のポケットに入れておいたミニ手鏡を使って自分の顔を見つめる。 だが、その鏡は後に割れる運命を辿る――本の一言の所為で。 ――君があの突風に足元を掬われた瞬間…1年という歳月が経った。 パリーン ………………は? 爆弾発言が聞こえた気がした。その言葉に思わず、手にしていた手鏡が地に落ち、割れた。 やべぇ、空耳か?幻聴か?勝手に妄想発言が聞こえたのか? 「……マジで?」 ――大通りをもう一度よく見るがいい。 瞬時に、私は大通りに顔だけひょっこり出して、様子を伺う。 ……確かにさっき見て気が付かなかった事が、今でははっきり変化が分かる。 あの風に当たる前――つまり、漏れ鍋捜索最中――に見たビデオ店、 喫茶店達は、完全に別の店に姿を変えていた……。 私が見ていなかった数分に、あんな大掛りの事は出来るとは思えない……しかし、問題は――。 誰がこんな事しやがったっ!? 張本人がその場に居たら血祭りにしてやりたい! だって、この世界で私が此処まで(なんとか)来れたのは愛するハリポタキャラに会える事だったのよ! 箒に乗ったり…三頭犬と会ってみたり…とにかく色々考えてた物がさっきの一瞬で消え去りやがった! ……血祭りじゃ、治まらない…。 猫耳に尻尾付けて一日中某キャンペーンのティッシュ配りさせたる!! 「…あのさぁ。もしかして、貴方の所為じゃないわよねぇ?」 可能性として、一応訊く……例えこの本達が私の運命共同体だったとしても、そこまで許す私じゃない。 自分が死ぬ < 本を破り殺して憂さ晴らしして自分も死ぬ の方がまだまし。 ――無論、何故我らが一年と言う長い歳月を経過させる必要がある? 寧ろ、一年が経過した時点で"一年目"の力は無効となり、我らの力は落ちると言うのに……。 ……まぁ、確かにあの感じは尋常じゃなかったし、本達が嘘を付いているとも思えない…じゃあ――。 「とにかく、今は"二年目"である事は確かね?」 本達の同意を聞いた後、もう一度自分がどう言う人間として物語に紛れ込むか考え直す。 あのまま風が来なかったら、私はハリーと同じ一年生として紛れ込む予定だった。 ホグワーツ特急に乗って、しっかり最初からハリーと一緒に行動も考えたが……私には不安があった。 問題は――やはり、あのプラットホームへ行く鉄格子だと思った。 あれは明らかに(今時点)マグルの私が通れるとは思えないし、 もしあそこに行ってマルフォイ氏にでも会ったら………もう終わりだと思う (例え姿が違っても、不安なのです!!) だから、私は其れを考慮した上で作戦を立てた。 1,九月一日にロンドンの漏れ鍋を見つけて中に入り、フルーパウダーを使ってホグズミードに移動! 2,ホグズミードから徒歩で人気の無い所へ。そこで本達から魔力を頂く(其れと同時に服も着替える)。 3,その後、ホグズミード駅から見てロンドンよりに少し行った線路の所で待機。 4,ホグワーツ特急が来た瞬間に中へ姿現しし、ハリー達と合流。そして組み分けへw ……先程考えた『マグルでホグワツ入学しちまえ作戦!』は結構無理がある内容だと再認識。 それに、一年が経った今は秘密の部屋の内容だ。ハリー達も二年生だし、その他色々と問題がある。 今から新入生として紛れ込むか……それとも(少し目立つが)編入生として入るか…。 そこの所について考え中だ。 「おし、考え直した!――…言うよ?」 私は大きく息を吸い込み、構築し直した言葉を口ずさむ。 二の物に綴られし未知なる物語に、一人の者を肯定する。 名は・。絹の様な黒髪に、銀の瞳を持ち、十二と言う年月を超えて来た者である。 其れと同時に、魔力を持つ親は既に其の者が八つの時に亡くなり、魔法界の孤児院で育つ。 学校には、原因不明の病で入学できず、今年編入と言う形で入学する事になるだろう…Affirmation ――承認。 私の言葉の後、本達の小さな声が聞えた――その時、私の額から小さな紫色の蝶が飛び出して来た。 ルリシジミみたいなその蝶に私は恐怖を感じず、 目でその先を追うと私の髪の毛に止まって、すぅっと消えて行った。 「…今のは一体何ヨ?」 ――君が定めた条件に対する代償へ、あの蝶は飛んで行くのだ。 そして、今回は君のその髪の毛に代償が行った。 ……でも、なんも変わりなさそうですが。でも少し髪が伸びた感じがする(気の所為かも知れないけど) 「とりあえず!漏れ鍋を探しましょうか!!」 私は足元の旅行鞄(に化かしてある通学鞄)を手にして、再び大通りの人ごみの海を掻き分ける。 キョロキョロと、頭を回転させて――簡単に見付かった。 「つーか、私がさっきまで一生懸命見詰めてた場所じゃないかよ……骨折り損かぁ」 そう、確かに先程までなかった店が、実際に存在していた。 外観はボロボロで一体何年前にペンキを塗ったのかも分からない様だった。 私は、更に人ごみを掻き分けて店の前まで辿り着き、しっかりとした足取りでドアのノブに手を掛けた。 カランッと言う良い音が響いて、私はさっきまでの緊張が一気に解れた気がした。 店内は原作の描写通り……う〜ん。少し捻りが欲しかったなぁ。と、心の中で愚痴を言っていると――。 「ミス・……待ってましたよ」 う〜ん。誰かが私の背後から話しかけてきてる。 でも、私の(此方での)苗字を決めたのはついさっき……私は振り返った。 エメラルドのローブに威厳がある顔立ち、そして凛とした背筋。 ……目の前の人はマクゴナガル先生だと思って間違いないと思う。 …――やったぜ!マシなハリポキャラに初めて出会えた!! (しかし、何故此処にいるんだろうか?) 「は、はい?」 「私はホグワーツ魔法魔術学校の副校長をしているミネルバ・マクゴナガルです。 ホグワーツまで案内しましょう。貴方はまだ病み上がりなので、ホグワーツ特急では無く別の方法で 校長先生は貴方を学校へ招く事を決めたのです。 ……聞いていますか?」 余りに私が間抜けな顔をしていた所為か、マクゴナガル先生は思わず私に疑問文を投げかけた。 私は其れに瞬時に反応し、顔を整えて言う。 「す、スミマセン……始めまして、マクゴナガル先生。よろしくお願いします!」 「では、行きましょう……フルーパウダーの使い方は知っていますか?」 明らかに先に暖炉へ移動しているマクゴナガル先生は、私の方を少し向いて訊いて来た。 勿論、ハリポタっ子(子って何だ!?)の私は――。 「はい、大丈夫です!……お気遣い有難う御座います」 そう言って、ニッコリと愛想良く微笑み、マクゴナガル先生に並ぶようにして暖炉の前に立った。 見るからに古そうな暖炉で、内心。本当に此れで移動できるのかと不安になっていた。 先生は、私が隣に来た事を確かめると、ポケットから小さな巾着型の袋を取り出し、紐を緩めながら言った。 「いいですか?しっかり荷物を掴んでいるか確認した後、 暖炉の火がグリーンに変わったら、『ホグズミード村』と叫ぶんですよ」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ……もしかして、私が考えてた作戦と、同じ道筋で行こうとしてません?! 心の中で、そう叫んでいたが、私は再び深くコクコクと頷いた。 私は、マクゴナガル先生が持っている巾着に右手を入れ、キラキラした粉を掴んで暖炉の前へと進む。 しっかりと旅行鞄の取っ手を確認し、一息開けてから――叫んだ。 『ホグズミード村!』 編集 5/10 すんません。此処できります。(結局主人公語りに戻ってしまった…) ちなみに、ルリシジミは可愛いですよ? |