"It lives." 魂の歌が、人々の耳の中に、日頃の雑音と共に届き始めた――。 その刹那、自らの体がピクッと小さな反応をしているのに、彼らは気付いていた。 澄んだ声だ。不思議な程透き通り、そして、 穏やかなメロディーが 微かな風の様に心に染み込んで行く――。 か細い声だ。まだ幼い、しかし、その声と言葉の中に、確かに大きな感情が息衝いている。 迷いと、困惑と、希望の唄――。 其れを紡ぐ、一人の少女は、何とも頼りなかった。 しかし、生み出す言葉とリズムはしっかりとして、いい様が無い力強さを感じた。 「素晴らしい…」 誰かが、そんな呟きを漏らした気がした 私は、歌に振り回されているような気がして成らなかった。 歌自身の言葉が、此処の引力を有しているから、私はそれになす術は無かった。 私が歌うのには、重すぎたかもしれない。 だから、途中で止めようともした。 でも、出来なかった。 魂が、私の本心が、この歌を欲し、 私は自分が歌おうと思っていた場所まで、思考を巡らす暇もなく、熱く歌った。 閉じていた、瞳を開ける。 開いた時点で、私は少し驚いてよろけてしまった。 私を見詰める多くの顔があったのは、予想もしなかったのだ。 途端に、歓声と拍手で私は包まれていた。 私以上に素敵な笑顔と、賞賛の声を掛けてくれる観衆の人々。 「素晴らしかったよ!君は歌がうまいんだね!」 「とても美しかったわ!貴方の声も、歌の言葉達も!」 「なんて言う歌なんだい?もう一度聞かせておくれよ!」 「他に歌えるのもあるの?有るなら、是非聞かせてちょうだい!」 余りのマシンガン発言の連発に、一歩後ずさりたくなったが、 本来の目的を思い出し、少し屈んで先程の空のアルミ缶ボックスを観衆に突き出す。 「…夏休み中に、旅する私に資金源をw」 「……」 あ。やばい。本性出した所為か、観衆の皆さんかたまっちまった…。 暫しの沈黙……私もさすがにこの空気では発言がしづらい為、沈黙の継続を続ける。 しかし、驚くべき事に一人の男が私に紙幣をずいっ、と突き出し、微笑んだ。 「素敵な歌だったよ……これで、もう一曲お願いするよ」 彼の一言で空気が若干穏やかになり、私の持ったアルミ缶ボックスには、 少なからず紙幣や通貨が集まった。 「ありがとう御座います……では、もう一度歌います――“貴方に声を…”」 ――だから、私は此処で生きて行こう。 貴方の、愛の一票を→ワンドリサァチ! 編集 5/10 なんだ。この終わり方は…。 名前変更無しだよ!そして、これプロローグ終わったぞ! ……いらんかったかもなぁ。プロローグ…。 次だけ他人視線の物語を進めていきます。大変、ご無礼いたしました…。 |