"Is it a fate that0000000000000
challenges the dark?"















痛みは、唐突だった。











自分でも出したことの無い声を上げて、私はバシャンという音と共に地に落ちた。

息をすれば泥臭いにおいに、先刻のハードな落下も重なって一瞬嘔吐感に襲われた。





「…scourgify





吐き気を抑えながらそう唱えれば、確認は出来ないが、臭いが少しマシになったので息を漏らした。

痛む体を起こせば、体にまとわり付いてきた蛇達が居なくなっており、

立ち上がって、杖の先に光を点す。


想像していた以上に、そこは酷い環境だった。

確かに辿り着いた此処は巨大なトンネルだったが、

鼻につく腐敗臭と、足首上まで濡らす水は見るからに、汚い。





「随分と荒っぽい招待の仕方…ん?」





そうため息ながらに呟けば、照らされた視界の端に何かあるのに気付く。

向き直り、慎重に杖でそこに光を当てれば――。


小さな鉢が置いてある。いや、只の鉢じゃない。

鉢の中から何かが伸び、最終的に鉢の外に萎れて倒れてしまっている。

……その"何か"が、先刻の毒々しい蛇達だった。



おかしい。

何故私が立つだけで入り口が開き、蛇達が現れたのか。

あの場で呪文を使うと、そう言う風になる様にリドルが仕組んだ?

…いや、私の前に誰かが来る可能性は十分ある。そんな事、リドルがするだろうか?





「ディアス…どうだと思う?」




あまり彼には迷惑を掛けたくなかった。

しかし、どうしてもこの法則が分からず、静かに訊く。





――…魔力を使用すると反応する魔法生物であるのは確かだ。

    しかし、此れは特殊で一定の魔力にしか反応しないように改良されている。

    推測ではあるが…継承者はあらかじめ此れにの魔力を覚えさせていたのかもしれない。






なるほど…確かにそれなら納得がいく。

リドルが私の魔力を奪っているのは確か。

それなら魔法生物に私の魔力を覚えさせる事だって出来た筈だ。

つまり…リドルは私がここに来るのを既に分かっている。


一度きりだったらしく、その鉢は私が既に何度も魔法を使っているが反応はなく、

安堵してようやく先に進み始める。








……私は、本達に負担をきっと掛けている。

バシャンバシャンと、足元で水音をたてながら私は進んで行く。

自分で言った事も貫けない私を、守ってくれている。


確かに、本達にとっては私が死んだら困る存在だからかも知れないけど…。

それでも凄く嬉しいし…そして後ろめたい。

一番頑張ってるのは――きっと、本達だ。









〜§〜









ガターンと、背後で重々しく扉が閉まり、辺りは闇に包まれた。

秘密の部屋に入る前の決意も、この闇で揺らぐ。


瞬時に、ローブのポケットとの中から球体を取り出し、天井に向かって思い切り投げる。

少しの間の後、頼りないが天井付近で球体が止まり、輝きこの場を照らし出す。

…闇なんて、耐えられない。






「照明弾か……もって1時間強の代物だ」






背後から聞こえたその声に、私は急いで身を翻す。

…蔦が巻きつく大柱に寄りかかりながら、リドルは冷笑を浮かべていた。





「君は馬鹿だ…愚行だと知っていながら此処に来た理由を、お聞かせ願おうか?」

「…嘘です。貴方は私が此処に来る事を予想していました。理由も、分かる筈です」





杖先の光を消し、私は強く握り直す。

その答えに表情を崩さず、リドルは私の行動で杖についての話に切り替える。






「あぁ…君の杖は本当に使いやすいよ。ウィーズリーの娘の杖なんかより、ずっとね」






手に持つ杖をクルクルと弄び始めるリドルの発言で、

私はハッと彼を出来るだけ視界に留めながら辺りを見回す。

そうだ、ジニーは…私の知識の中の事が全て現実になっているとは限らない。





「ジニーは…どこ」

「僕が殺したとでも思ってるのかい?まだだ。君の真後ろに倒れてる」





その言葉に、思わず振り返りたくなるがグッと堪えた。

…今彼に背を向けるのは、怖い。






「――さぁ、気を散らしている余裕は無いよ」









無言で紡がれた紫の閃光が、私に向かってくる。

……私は、何処まで、出来るだろうか。











リドルとのバトル開始。
……なんか、リドルが某キャラとかぶり始めて怖いです。
次、若干痛々しいかも。


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