"Decision"
向かい合わなければいけない。
そう、分かってはいるものの、自分に自信などは無い。
「もうすぐ、マクゴナガル先生とスネイプ先生がいらっしゃいますよ」
ぼんやりと、沈む夕日をベッドの上から見ていた私に、マダムはそう声を掛ける。
穏やかな表情で、小さく「はい」と答えたが、内心ゾワリと波立った。
目覚めてから半日が経とうとしていた。
そしてあの夜から、既に二週間以上経っていた。
……体の何処にも異常がないのに、一向に起きる気配を見せなかった私をもう少しで
病院に入れなければならない、と言う状況になりかけていたそうだ。
そして、今。私が目覚めたと言う知らせを受けて、マクゴナガル先生とスネイプ先生がやってくる。
見舞いと言う言葉で包んだ、事情聴取をしに。
分かっている。自分がやろうとした事がどんなに愚かだったか分かっている。
でも、その愚行を今、私は処理しなければならない。
「ミス・!」
又ぼんやり考え事をしていたら、突然声を掛けられ、
そちらを見れば早足で歩いてくるマクゴナガル先生が居た。
「あぁ…心配しましたよ!一体どうしたのです?」
先生は私を優しく抱きしめた後、何時もとは違う優しい笑顔で私に聞いてきた。
……その表情が、私の心をさらに締め付ける。
「……何故、あのような場所に居たのだ。」
サッと下を見つめていた顔を上げ、マクゴナガル先生の後方を見れば…そこにはスネイプ先生がいた。
心配した…と言うよりも、答えを濁らせている私に対して苛立ちを覚えているようにも見える。
どうすればいいだろうか……。
「…記憶が、無いんです」
「――なんと」
最終的にすがれるのはこの方法だけだった。
ヘタに何か言えば、小さな矛盾から更に真実へと詮索されるだけ…。
言えない…言ったら――いけない。
「ごめんなさい…どうしても思い出せないんです…
必ず思い出します…だから、今日はもう――」
言葉に出したとおりだった。感情が整理できず、目の前に居る二人を見ているだけで吐き気がした。
こんな状況では話も出来ない…私は素直に会話を拒絶した。
「…分かりました。貴女が落ち着くまで、私達は待ちます」
マクゴナガル先生が、私の顔(きっと真っ青なんだろう)を見てそう呟くように言った。
それで終わりだと思った私に、最後に優しく眼を見てから…。
「…よく目覚めてくれました。
何があったのか私にはわからないですが、貴女の顔が見れて安心しましたよ」
…と、そう言われ、私の心は罪悪感で又ギリギリ痛んだ。
〜§〜
「…私、これからどうしたらいいのか分からないんだ」
夜、静かに私は独り言のように本達――いや、ディアスに話しかける。
私は完全にディアスを許したわけじゃない。そんな簡単な問題じゃない…
でも、守ってくれているのは確か。
「誰にも言えずに私はここで生きていく自信なんて無い。
……嘘をつき続ける、勇気も無い」
意地なんて張らずに、私は素直にそう口にした。
「――…私は、自分がしたことを片付けて、去るよ」
勿論、今すぐになんて出来無い。
死は免れたものの、私はケンタウルス達に殺されかけた…きっと厳重に森を見張ってるんだろう。
そんな中を抜けることは不可能だと知った…
だから、私はこの一年間で崩した未来を直して、去る。
曖昧でごめんなさい宣言。
スネイプ先生の発言が一回しかないのは気にしない。
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