"End for which it doesn't hope"
事は重大だった。しかしその真実を知るものは誰も居なかった。
・・・眠り続ける当の本人を除けば。
ピチャンピチャンと言う音が保健室の中に響いていた。
水でぬらしたタオルを絞り、マダムポンフリーは唯一患者の中で石化していない少女
――の顔を優しく拭いていた。
が禁じられた森近くで発見され、ここに運び込まれてもう一週間になろうとしていた。
何故寮から抜け出したのか、どうしてあんな所で倒れていたのか……聞くことは一杯ある。
しかし、は此処に運び込まれてからまだ一度も目を覚ましていないのだ。
「ポピー、ポピーは居ますか?」
保健室の中に同僚の声が響き、マダムはタオルを持ったまま出入り口に小走りで向かった。
そこには、緊張の面持ちで杖をしまっているマクゴナガルとスネイプが居た。
「あぁミネルバ、スネイプ先生」
「マダム、の容態はどうです?」
毎日夕食後の生徒を寮まで送った後に、の容態を聞きに来る二人…それほど彼女を気に掛けているのと
同時に、頻発している生徒襲撃事件の情報を手に入れられるのではないかと言う期待も含まれていた。
「は…相変わらずです」
そう言って、マダムは二人を連れての眠るベッドの近くまで行き、閉めていたカーテンをそっと開けた。
長い黒髪は若干ツヤを失い、顔の血色も良くなく、だいぶやせ細っていた。
――…あの明るくて元気なからは想像できない変わり様だった。
「…眠っているだけです。ずっと」
カーテンをサーッと閉じ、マダムは重いため息をついてそう言った。
「何も悪いところは無いのですよ…熱も無いし、かすり傷も治りましたし、
呪いが掛かっていた形跡もないのです」
「……なら、何故?」
「それが分かったら――何か手を打てるのですが」
マダムは少し弱弱しく笑った。
……相当今回の事件で神経をすり減らして居るのだろう。
「――は」
静かに、スネイプは言葉を口にした。
「どうしてあんな所に居たのだと思いますか、マクゴナガル先生?」
それは、触れてはいけない話題のひとつだった。
確かに疑問には思っているが、それを話し合っても埒が明かない。
……それでも、話題に上げないわけにはいかない。
「それは…やはりどんな仮説を立てても成り立たない話です。
…やはり本人に聞かなければ」
「ですが」
マダムの声により、二人は話を止める。
「このまま彼女が目覚めない……そういう事もありえるのです」
静かに、窓から風が吹いた。
――…彼女の夢は、いつまで続くのだろうか。
ごめんなさい。若干微妙になりました。
校長を出したかったのですが……グダグダしくなりそうなので延期。
――…次、重たいです。
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