"Green, fem green...and linden"
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やばいっ!
「・・・失礼しまーす」 夕食が済み、私が寮に戻って荷物を置いてきた後、私が覗き込んだのは――教務室の中だった。 自分の中で決めていたスケジュールを果すべく、私は教務室に現れたわけでなのですか…初めて教務室 を訪れるので、少し緊張気味だ。 教務室に完全に足を踏み入れ、ドアを閉じると、私はお目当ての先生を探すのと同時に教務室内部を詳しく 見渡すが…内装は私が通っていた中学校とほぼ同じに等しいほど似通っていた。しかし、確認出来る教師 方々の数は四名程しか居ない。 立派な木で作られた事務用デスクが綺麗に列を作って並んでいた。長細い部屋にあわせて、奥へ奥へと その列が続いている…簡単に言い表すのなら、中学校の学活の時間でやった机合わせが二列かな。 私の知っている中学校の教務室もこんな感じだが、唯一違う所と言えば、事務用デスクの対と成っている 椅子は肘掛け椅子で、机の上には殆ど荷物は置いてない…いやむしろ使った形跡もなかった。 そして、部屋の一番奥には洋箪笥が幾つも置いてあり、よく見れば時々カタカタと音を立てていた。 形だけ作った様な教務室だが、私はそこでお目当てであるマクゴナガル先生を発見する事ができた。 スタスタと歩いていって、何かの本を読んでいる先生に声を掛ける。 「先生?・・・あの、変身術で分からない所があるんです。教えて頂けませんか?」 「えぇ、いいですよミス・。何処ですか?」 「えっと・・・此処なんですが――」 私が唯一持って来た本の一ページを開いて先生に見せると、優しかった先生の顔に何故か皺が寄った。 不思議がっていると、深く溜息をついて先生が力の抜けた声で言ってきた。 「ミス・・・・貴女はこの本の学ぶのには早いと言う事を知っていて、私に聞いているのですか?」 「・・・はぃ?え、だってそれには"振り返る変身術――T年生"って書いてありますよ?」 その私の一言で、先生は本を閉じ、表紙を見ると、何故かピンと来た顔になった。 「……誰かの悪戯に嵌ったのですね――Finito Incantatem!」 先生はローブから杖を素早く取り出し、解除の呪文を唱えると、"T"の文字がうねうねと動き…。 ……"X"に変化した―――X(5)年生!? 「…通りで分からないわけですね……ありがとう御座いましたー」 ハハハハッ・・・あんなに頑張ってたのに・・・誰かの悪戯(予想は双子)の所為でオチるのか・・・。 あぁ…泣きたいなぁ――私の考えた時間を返せや! 精神崩壊の局地まで行こうとしている私に、マクゴナガル先生は不安そうな視線を送ってくれたが、教務室 から出ようとすると声がかかった。 「ミス・!ちょっと、コチラにっ!」 高音質で耳に悪いキーキーヴォイスが、私の耳に届き、視点を定めてそちらを振り返ると…妖精学の教授 であるフリットウィック先生がいらっしゃいました。 何でだろう……彼の声を聞くと最近頭痛がする。 取り合えず、いかないとやばい気がするので、マクゴナガル先生に質問する為に持って来た本を右手に持 ち直して、フリットウィック先生のいる肘掛け椅子(何故か他のとデザインが違った)に行った。 「……何でしょうか?先生」 「いえ、貴女の"杖"についてお聞きしたい事があるのですよ!」 ・・・来たよ。又、私が聞いて欲しくない話題を話さなくちゃいけないんですか。 素性がバレたらやばいんで、出来れば深く追求しないでくださいね。ミニマム先生様。 「杖を見てもいいでしょうか!」 「…えぇ、構いませんよ」 いや、本当は凄く嫌です。バレる可能性もっと増えるじゃないか! しかし言った事は言った事、私はローブのポケットから深紫色の杖を取り出し、先生に嫌悪感を隠しながら 手渡した……キラキラと、まるで子供の様な輝きを持つ瞳で杖を見詰める先生――ハッキリ言って、怖い。 「これは、これは……」 「あの、お一人で納得せず、私にもその情報を教えてください!」 「おぉ、此れは失礼……いやぁ、とてもしなやかで魅力的な杖だと思ったのですよ! 芯が分かりさえすれば特徴がもっと分かるんですがね……」 「つ、杖の材質は分かるんですか?」 余りにも熱く語る先生に、私もついつい自分が作った"偽の杖"の情報を訊いてしまう。 その質問に答えようと、先生はじっくり見詰めていると…頭に豆電球(古いっ)を浮かべて、興奮して言う。 「此れは珍しい!……菩提樹の木とは…――」 「菩提樹とは、本当ですかっ!?」 興奮する妖精学教授に、更に動揺した声で薬草学のスプラウト先生が叫んだ。 落ち着きが無い足取りで、自分が座っていた椅子から立ち上がって、隣まで来たスプラウト先生は、言う。 「是非、その杖――私にも見せて頂きたいわ!」 「どうしたんです、ポモーナ。いえ、二人とも。の杖は、そんなに貴重な物なのですか?」 教師二人の、余りにも指導者らしからぬ行動に、マクゴナガル先生は少し焦った声で訊いた。 しかし。ポモーナって……あ、スプラウト先生の名前か。嵌ってた時、ネットで載ってた気もしないでもない。 煌く二対の眼が、マクゴナガル先生に向けられ、そしてスプラウト先生が答える。 「菩提樹とは、二つの種類があるのですが、その両方とも強い魔力を持っていて、増してや杖の材質にする などとは至難の業。…そしてその"菩提樹"の中でも"印度菩提樹"と言う物は普通の杖より数十倍程の 魔力が宿っているのです!」 「……ミス・が持っている杖が、"菩提樹"であっても"印度菩提樹"であっても、 とても貴重なのは同じなのですがね!」 熱く語る薬草教授&妖精学教授は、遠目から見たら異様な雰囲気を放っているのは、言うまでもない。 「――…そんな貴重な杖を、何故ミス・は持っているのかね」 燃え上がる二人とは対照的に、最初に確認していた教師人数の最後の一人 ――…魔法薬学の"セブルス・スネイプ教授"が教務室の隅の肘掛け椅子から訊いて来た。 ………すんません。怖いです。スネイプ先生から氷河期でも来そうな程の冷気が来ています。 「あの、母の形見で……他には何もなくて……」 「ほう……君の母君のお名前は?」 こわいこわいこわいこわいこわいこわい………。 詮索しないでください……我が友(自称:魔法薬学教授LOVE)の三波は喜ぶでしょうが、私は結構です。 でも、この侭じゃ本当に組み分け帽子みたいに私の"素性"がバレる可能性も出てくる――此処は…。 「スネイプ先生!…その質問をに訊くのは、酷です」 私の(騙し)泣き顔に気付いてくれたマクゴナガル先生が、スネイプ先生にそう言って、ピンチから救ってくれ ました…――ありがとう。先生! 「すみませんっ!私、まだ勉強する所があるので、此れで失礼します!!」 思い立ったら直ぐやりましょう――私は、まだ妖精学教授の手に収まっていた自分の(偽)杖を奪い取る様に 持って走り、教務室の入り口まで早足で歩いて行くと、最後に教師団に一礼し、そのまま教務室を出た。 ――――…やべかったー。 心の中でそう呟いて、私は足早にスリザリン寮を目指した。 早く、対策を取らないと、きっとバレる…――。 さん。メインキャラ接触第二段。 『未来を変えてはいけない』と言う事がなければ、多分もっと柔らかく接する事が出来るんでしょうが……。 緑と黄緑については……ファンの方。ごめんなさい。 しかし、教師達で遊び過ぎたきもするね。 多分、ミネルバ様。フリットウィック様にはお気に入りな存在のさん。 でも、セブルス様には、少し怪しまれつつある……大丈夫ですか? さんの"(偽)菩提樹杖"については、又詳しくある予感。 |