それは、悪夢なのか。
それとも儚い夢物語なのか。
判断を保留したい出来事だったのは覚えてる。
悪夢はスタートライン1
「君には、ウンザリだよ…」
彼はそう言って、盛大にため息を付いて私を見詰めている。
そんな彼に、私は軽く笑って答えた。
「だって、私は私。この性格だけは中々治らないんだ」
そう答えたのが、最後――。
「…悪夢だった」
がばっと布団から起き上がって、寝癖が付いた髪の毛に手を当てながら、私は呟いた。
いや…悪夢だ。あれこそ最大の悪夢だ。
「何故、夢にハリポタのトム・リドルが出てくる必要があるんだっ!」
小声で(本当は大声で叫びたい気分だが)そう嘆けば更に憂鬱さが増し、バタリと布団に倒れこむ。
ヤバイだろ私。死にたいのか私。いや、既に末期だろ私!
確かに昨日は色々したさ!暇だったからハリポタのDVDとか見たし、
それで補足出来なかった分は原作を読んで補ったりとか。
でも……私、一度も昨日の時点でリドルの姿も活躍も目撃してない筈なんだけど!?
二巻だけ…一昨日にDVD貸してたし、原作は大荒れの勉強机から救出できずに読めなかったし…。
いや、寧ろ読めなかったのが悪かったのか?
「やっぱり、悪夢としか…」
言い様が無い、と愚痴ろうとした刹那。
「おぉ〜い、起きろよ!」
父が盛大に襖を開けて、何時も(自力では)起きていない私を確認すると驚いたように言った。
「おっ珍しいな、が起きてるなんて。今日は雨だなコリャ」
「おやっさん…既に雨降ってるでしょ。天気予報、最近当たるもんね」
そう言って部屋の窓から外を見れば、ドンヨリした雲と水滴で気が落ち込む様な景色があった。
あぁ…悲惨。と嘆いて、「早く起きろよ!」と言って去った父を追って、リビングに移動した。
〜*〜
「それは、"儚き夢物語"…か」
「誰からの格言〜?」
学校に着き、そんな小言を漏らしていると、友人の渚が話し掛けて来た。
私は「脳内辞典から引用したのさ」と言ってみると、渚は何もなかった様に話題を切り替える。
(天然なのだ。史上最強に)
「そ〜言えばさぁ、の後ろの席って昨日あったっけ?」
渚の一言に、私は後ろを振り向けば……そこには真新しい机がチョコンと。
私のクラスは全三十五名(通常居ない奴も含めれば)で構成されているので、6×6の形態にすると、
一列だけ一席欠けた状態になる――その欠けた列の私が一番後ろだったのだが…。
「いんや、昨日は無かったよ…こんな中途半端な季節から転変入かな?」
「…まぁ、この学校は"ワケアリさん"しか来ないらしいからね〜」
そう言った後、渚は空席に近付き、バシバシと叩きながらそんな事を言った。
――…確かに、この学校が変わっているのは明白だ。
中学校で"食み出し者"だった人が入って来る事が多いし、自由な校風がモットーらしいから
その所為で授業サボってる生徒も多いし…まぁ、色々ある。
でも、やっぱり一番"食み出し者"であるのはやっぱり転変入して来る生徒だ。
大体が、別の学校で事件を起こしてとか…人間関係とか。
"自由な校風"をモットーにしているから、高めの学費を請求する――そう言う所なのだ、此処は。
「それって……私達も含まれる可能性があるんだけど?」
「いや、アタシ達は多分違うよ〜…あ、チャイム鳴る」
軽く私の発言を否定しながら、渚は時計を見てそう言った。
そして渚は「じゃあね〜」と、別れの挨拶を交わして教室から出て行った。
「にっしてもなぁ…男かな?女かな?」
「男らしいぜ?」
そんな独り言を漏らすと、隣の席の安城君が即座に反応してくれた。
一体その情報網はどこから……と訊こうとした刹那。
「キィ…」
チャイムがなる寸前、教室の配置上一つだけとなっているドアが開いた。
そこには、今時その年齢にしては一切染めていない黒髪に、
輝く朱の瞳があった…――。
「…マジ?」
――…夢物語は、大きすぎて。
どうやら、リアルワールドにまで被害をこうむるつもりらしい。
やっちまったーーーーー!!!ギャグテイスト女夢!
企画終わってないだろ!?ぶっちゃけ、衝動書きだろう!?
あ〜ぁ、誰か止めておくれ。
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