ペラ、と本をめくる音
カリカリ、と羽根ペンを動かす音



  in the library



「う〜…」

目の前には天敵がいる。
そう…アレだ

「う〜…」

とりあえず持って来た大量の本に目線をうつし、パラパラとめくる
私の天敵。それは…

め…っ」

既に私の頭の中では、机をひっくり返して「こんな物わかるかー!」と叫ぶ映像が何回もリピートされている。
ここは図書館なので、もちろんそれを実行する事は出来ないけれど。

「くすくすっ」
「んな、なにっ…」

いきなり聞こえてきた笑い声。
そんなに大きな声ではないけれど、ここ図書館ではそんな音も目立つ。
今までうーうー唸っていたのだから、この笑い声は自分に向けられていると考えて間違いは無いだろう。

「いや、必死になってるから。」

そう言いながら本棚の影から出てきた、男子生徒
黒髪に、スリザリンのネクタイ。

「な、な、なっ…い、何時から見てたんですか!?」

恥ずかしい。恥ずかしい事この上ない。
こんな所を見られるなんて!

「ん?最初から」
「さ…っ」

最初!?そんな…っ
本棚にある本を片っ端から取り出してえっちらおっちら運んでる所とか!
課題を睨みつけていた所とか!
頭抱えてた所とか!
それ、全部!?

「手伝おうか?」

にっこり笑ってるけど、胡散臭い事この上ない!
なんたって最初から見てたんだから!
物陰で笑ってたんだからっ!

「け、結構ですっ!それではっ!」

ば、っと立ち上がって課題をかき集め、図書館を飛び出した。




結局、寮に帰って課題を広げても一向に進まず、次の日また図書館に来た訳だけど。
キョロキョロと入り口から図書館の中を見る。
とりあえず見える範囲に…アイツはいない。

「…よし。これで心置きなく課題が…」

そう言いつつ図書館の扉を開けようとして。

「なにしてるの?」

ポン、と肩を叩かれた。

「ひぎゃぁあ!」
「うわ、びっくりした」

思わずおかしな悲鳴が出てきてしまった。
びっくりしたのはこっちだ!

「ど、どちら様で!?」
「ん?覚えてない?」

…は。
あーっ!思い出した!
ビシィ、と指を指す(人を指差しちゃいけないとか、そんなものは知らない!)

「あ、あの時の失礼な人!」
「そう言う君もなかなか失礼だと思うけどね。(ま、そんなところも…)」
「え?」

今、何か聞こえたような…?

「いや…なんでもないよ。ところで、課題は進んだ?」
「ぐ…」

ニッコリ笑ってるみたいだけど、私にはニヤニヤ笑っている様にしか見えない。
くるり、ときびすを返してすたすたとそこを去る

「図書館、行かないの?」
「誰かさんがいると気が散って出来そうにないので!今日は帰ります!」



…とまぁ、こんな事が毎日続いた訳で!



「明日は提出期限だよねぇ…いいの?僕が手伝わなくて」
「って、何で提出期限知ってるんですか!?」
「ん?企業秘密」

…なんじゃそりゃあ!

「提出期限ギリギリまでやらなかったのは君でしょう?」

毎回邪魔してるのは誰だコノヤロウ!
ギリギリと音が聞こえそうな程に睨みつける。
でも、相手はそれを涼しげな顔で受け流す。
それどころか、どこか楽しんでいる様にも見えた。

「で?何か言う事は無い訳?」

グッ、と声が詰まる。
言いたくない。言いたくない、けど…

「お、願いします…」

悔し紛れに小声で呟く。
でも、それを逆手に取られた。

「ん?ゴメン、聞こえなかった」

嘘付けーっ!!!聞こえてただろう、絶対に!
そんなニヤニヤした顔で言っても説得力ないぞコノヤロウ!

「何か言った?」
「イイエ、ナニモ!」

どことなく片言だが、そんなことはもう気にしていられない。
あぁ、コイツのスカした顔にイッパツいれてやりたい…
もう性格が変わっているとか、そんな気もするけれど、知った事ではない
何か大切な物を失ったような気がするけれど…(そしてそれはもう二度と帰って来ないような気がするけれど)
もう、そんな事はどうでもいい!

「お、お願いします…(くっそー!)」
「うん、こちらこそよろしく(ニッコリ)」





「出来たー!」

お、終わった…!
ここ数日間私を苦しめ続けた元凶が…
これで図書館に通い続る、その必要がなくなった。
そして隣のヤツともこれでオサラバ…!
あぁ、これほど嬉しい事があるだろうか!いやない!

…でもまぁ、手伝ってくれたんだから、お礼ぐらいは言わないといけないよね。

「えーと…ありがとう、ございました。」
「どういたしまして。」

ニコニコと笑っている、その顔をみて、少し引っかかる所があったけれど
特に気にはしなかった。天敵が姿を消した事に浮かれきっていたから
後から考えてみれば、あのときもう少しよく考えていればよかったのかもしれない…
いや、それとももう遅かったのか

さっと片付けて、課題を手に寮へ戻ろうとした、そのとき。
グイッと手を引っ張られる感覚。思わず多たたらを踏む。
振り向くと、あの顔…ニコニコ…いや………ニヤニヤ…?

「で、ご褒美は?」
「はぁ?」

いきなり何を言う。
訳がわからなくて、思わずポカンと間抜けに口を開けてしまった。

「ご褒美は?」
「いやだから…え?へ?」
「じゃあ、今度僕の寮に来てね、?」
「はい…え?あれ?(名前…?)」


混乱して、思わず口から滑り出たイエスの返事…
自分の運命はこの時決まったとか、そうでないとか。




「ねー、の課題、出たんでしょう?」
「何で知ってる!(キーッ!)」



結局、天敵が増えたっていうお話。



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まず初めに…お待たせして申し訳ありませんでした…!!
本当にごめんなさい…orz
名前変換なんて最後に申し訳程度にひとつしかなくて…
こんなので良ければ貰ってやって下さい(汗


ありがとうございます!!素敵過ぎます!
リドル黒くて(?!)かっこいいです!
楽しませていただきました!本当にありがとうございましたっ!


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