「ぴっかちゅー?」




……そんな鳴き声を発する小動物に出会ったのは、入学して間も無い頃だった。











――目の前に居る、どう説明したらいいのか一瞬迷う様な小動物に、入学ホヤホヤのは固まった。

それ程、にとっては目の前の"ソレ"は衝撃を与えたのだ。



「…ぴかぁ…」



しかし、自分と共に人気の無い廊下で器用に二本足で立っている"ソレ"は、少し変だった。

そう、なんと言うか――何かを探している様な…明らかにどんどん愛くるしい顔が歪んでいる様な…。



「あの、君?」

「ぴかっ?」



"ソレ"に話しかけると、瞬時にキョロキョロとしていた顔をコチラに向けたのでは一瞬驚いた。

しかし、怯んでいる訳にもいかず、取り合えず訳を訊こうと(話せないと決め付けるには情報が少ないので)微笑む。



「もしかして、飼い主さんと迷った?」

「ぴっ、かっ、ぴっ!」



歪んでいた表情が解消され、彼(彼なのか彼女なのかも定かではないが、何と無く)はキラキラスマイルでに頷く。

その時、明らかにの中に言い様の無いトキメキが走ったが、それを払いのけて考える。



「う〜ん…でも、私も一年生だから良く分からないの。取り合えず、ハッフルパフ生の飼い主さんじゃなさそうね」



自分の寮で彼を飼っている人も、そんな噂も聞いた事がなかったので、はすんなり否定した。



「…あら、耳に綺麗なカフスしてるのね。君」



しゃがんで自然と彼の耳に伸びた手を、彼も嫌がる様子を見せないので、は触って見た。

…綺麗な赤だ。原色の赤と言うよりは、ワインレッドの赤にも見えるとても素敵なカフスだった。

赤……寮の色………もしかして…――。



「…グリフィンドール生が飼い主さん!」

「ぴかぁ、ぴかぁっ!!」



の憶測に対して、彼は猛スピードで首を横に振った――首が取れないのかと心配したくなる位に。

……そんなにグリフィンドール生に何かあるのだろうか。



「今、夕食前だからなぁ……出来れば君を大広間まで連れて行くのもちょっと考え物だなぁ…」



明らかに、一年生が黄色い彼を連れて来たら目立つのだが、

自身その"目立つ飼い主"を見た事が無い(または興味が無くて見ていない)のでどうしようもない。



「…取り合えず、適当に歩いてみようか。君の姿だと、目立って飼い主さんが気付くかもしれないし」

「ぴかぁ!」



満面の笑みで、に近付いてきた彼は、瞬時に肩に飛び乗り場所を確保した。

……彼は飼い主とこう言う感じで移動していたのであろう。



「…少し目立つけど……いいかな?」



独り言を口にすると、は彼を気にしながら立ち上がり、人が居そうな廊下に歩いていった。




〜§〜




「ぴっ」

「どうしたの?」



歩いて、約十分弱だろうか。肩に乗った彼が瞬時に何かに反応した。

は先輩や他寮生に指を指されたりするのにも慣れてきて、直ぐ彼の異変に気付いた。



「ぴかぁっ!」



彼が一瞬の内にの肩から飛び降り、前方の曲がり角を曲がった。

――すると、曲がり角の先から「グハッ!」と言う声と衝突音が聞え、は急いで角に走りよった。


角を曲がると、そこには顔に手を押さえて尻餅を付いている男子生徒と、黄色い彼が男子生徒に頬擦りしていた。

…黄色い彼の様子からすると、男子生徒が飼い主であり、それと同時に黄色い彼のコニュニケーション方法も分かった。



「……。相変わらずの石頭だね…」

「ぴかぴかぁ!」



少しの皮肉が込められている様な男子生徒の発言を逆に喜んでしまい、黄色い彼は頬擦りの速度を上げた。



「あ、あのっ」

「…ぴかっ!……ぴかぴかっちゅーっ!」



が曲がり角からコチラを見ている事に気付くと、黄色い彼は男子生徒から離れ、さり気なく説明した。

良く見れば、倒れた衝撃で乱れたネクタイの色が、綺麗なエメラルドだ……スリザリン生だったらしい。

そして、押さえていた手を外せばそこには綺麗な朱色の瞳があった。



「もしかして、君がを?」

「…そう、四階の廊下の辺りで迷っていたので、飼い主である貴方を探していたんです!」



中々立てそうに無い男子生徒には手を差し伸べた。

すると、男子生徒は一瞬チラリとネクタイの色を見てからの手を握った。

立ち上がると、大人びた顔の割には身長が一年生であると同じ程だった……同い年の様だ。



「…ありがとう。君、名前は?」

「・神崎。貴方は?」

「……トム・M・リドル」



明らかに自分の名前を聞かれて戸惑った様子を見せたリドルだったが、

"黄色い彼"もとい""を抱き上げると愛おしそうに優しく撫でた。



「…彼の名前、君だったんですね」

「そうだよ」

「ぴかっ!」



リドルの腕の中に居たは、突然飛び上がっての頭の上に降り立った。



「あら」

「ぴかぴかっ!」

「あっ、駄目だよ!」



しかし、リドルはの頭の上で楽しそうにしているを見て無理に引き離すのを止め、静止する。



「…なっ、懐かれちゃいました?」

「――…そう、みたいだね」

「あの……夕食の時間が近いので、このまま大広間に行きませんか?」



かなりの大胆発言にリドルは驚いた。顔を見てまだ数分しか経っていないのにそんな事を言うが分からなかった。

……しかし、リドルの行動条件の一つの""は、の黒髪を少し掴んで器用に三つ編みを作って楽しんでいる。



「そうだね。も楽しんでるみたいだし…」

「行きましょっか」



そう言うと、とリドルは少し気まずい空気に包まれながら大広間へと足を進めて行った。




…――勿論、その後に懐かれたが、リドル達に会う度に髪を弄られ続けたのは言うまでもない…。




END
〜〜〜〜〜
ご、ごめんなさいっ!滝川様っ!
かなりしくじった気持ちで一杯です……でも私の文才ではこれが精一杯です。

余談ですが、君(ぴかちゅう)の体重は友達に聞いた所、四キロ〜六キロらしいです。
……肩なんかに乗せて大丈夫かしら…リドルしゃま。

そっそれでは、これからもよろしくおねがいします!
失礼しました!

「Novelty」洸月